希少な丹波産小豆を丁寧に炊き上げ、
滋賀県産羽二重餅米で包んだ、
三河屋の心を込めた一品です。
妙心寺の北門前に店を構えて、幾年が過ぎた。
変わらないのは、素材への誠実さと、
職人の静かな誇りだけである。
三河屋の菓子は、派手に語らない。
ただ、素材が——正直に語る。
丹波の地に育つ小豆は、粒の張りと、皮の薄さと、風味の深さにおいて格別である。三河屋はその希少な丹波産小豆を、創業以来ずっと使い続けている。煮れば香り立つ、あの芳しさ。甘さの奥に潜む渋み。それは、土の記憶だと、私たちは思っている。素材を選ぶことが、菓子づくりの第一歩であり、最も大切な仕事だ。
滋賀県が誇る羽二重餅米は、その名のとおり、絹の羽二重を思わせる繊細な肌理を持つ。搗けば、驚くほど滑らかに伸び、口に入れれば静かに溶ける。三河屋の大福がこの米を使うのは、あんの重みを受け止め、なお軽やかでいるためだ。素材と素材が、互いを高め合う——それが本物の菓子の条件だと考えている。
禅の古刹・妙心寺は、静寂の中に厳然とある。境内を歩む人々の表情には、日常の喧噪を一歩離れた、穏やかな余白がある。その門前で菓子を作ることは、私たちにとって、単なる立地ではない。余計なものを削ぎ落とし、素材の声に耳を澄ます——禅の精神は、三河屋の菓子づくりと、どこか通じている気がしている。
「素材に嘘はつけない。
だからこそ、素材を選ぶことが
職人の最初の仕事である。」